赤木法律事務所

事業再生・破産

私は、事業再生に強い思い入れがあります。
というのも、私の父の勤務先が民事再生の申立を行い、私たち家族は大きく影響を受けた経験があるからです。
父はリストラこそ免れましたが、一時的に収入が下がり、家計が苦しい時期もありながらも、家族のために頑張ってくれ、定年まで勤めました。
あの時、民事再生を申し立てることなく倒産していたら、私たち家族の生活は滅茶苦茶になっていたでしょう。

企業が倒産すれば、多くの社長さんは家を失い、仕事も失い、失業保険もない状態で世の中に放り出されてしまいます。それだけでなく、社員やその家族、取引先にも影響が及びます。
しかし、事業再生ができれば、社長さんも、社員もその家族も、取引先も、多くの人が救われるのです。

多くの中小企業が必要とする事業再生ですが、世の中に浸透しておらず、まだまだ知られていないのが現状です。

赤木法律事務所で事業再生のご依頼を頂いた企業様も、当初は事業再生のことを知らず、自己破産(倒産)の相談に来られて、事情をよくお聞きすると再生の可能性があったため、事業再生をお勧めしたケースがほとんどです。
社長さんと従業員を合わせて5名以下の企業でも、再生ができるケースはあり、企業規模の大小にかかわらず企業規模に応じた手法があります。
「ウチのような小さい会社には無理な話、縁のない話」だと諦めずに、是非一度、事業再生をお考え下さい。

事業再生とは、多額の借入金が資金繰りを圧迫し、企業の経営に悪影響を及ぼしている場合に、借入金の一部カットやリスケジュールなどを行いながら、企業を再建する手法です。

 

簡単にいうと、借金の返済さえなければ黒字化できる企業について借入金の大幅なカットやリスケジュールをすることで、経営を立て直す手法です。

 

事業再生には、社長交代をせずに経営権を維持できるもの、再生に際し全債権者の同意が必要なもの、一部債権者の同意で出来るものなど、様々な種類があります。

 

中には、買掛などの取引債権はカットの対象とせず、契約通りの支払を続けながら、金融機関の借金だけを大幅にカットできる手法もあります。
再生を希望する社長さんの心配の一つに、「取引先に迷惑がかかる」「信用がなくなってしまう」ということが挙げられますが、この手法が適用できるケースであれば、取引先に迷惑をかけることなく金融機関の借金だけをカットすることが出来、有力な手法といえます。

 

企業にとって良いことばかりに思える事業再生ですが、デメリットもあります。

 

それぞれの特徴やメリット・デメリットを把握した上で、慎重に手法を選択する必要があります。

事業再生を成功に導く一番のカギは、なんと言っても

「早期相談・早期着手」です。

 

まず、企業の実状を把握し、再生方針を決定するには、ある程度の時間を要します。

 

次に、債権カットを含め、債権者から再生計画の同意を得る必要があるところ、債権者数が少なければ少ないほど、同意を得られやすいため、むやみに債権者を増やさないうちに、早期に再生に着手することが望ましいのです。

 

債権者が少数の金融機関のみである場合と、買掛先の複数社への支払は遅延、従業員給与も遅延という状態では、再生の可能性は大きく違ってきます。

 

さらに手形を乱発、消費者金融からも借入、親族や知人から借入、税金も滞納という状態では、再生可能性は大幅に下がってしまいます。

 

もし、親族や知人から借入をすることが出来るのなら、どんどん状況が悪化している企業の赤字の補填にではなく、再生をして立ち直った企業に投入をすることで、大切なお金を生かして下さい。

 

当事務所に倒産や再生のご相談をいただいた企業のうち、残念ながら、どうしても再生が出来ないケースもあります。その理由で最も多いのは「相談に来るのが遅すぎた」というものです。
お話を聞いていると、どの企業にも、再生のチャンスは何度もあったと思われるケースばかりで、このような企業に遭遇する度に、悔しく残念に思います。

 

相談が遅すぎて企業の再生はできなくても、「採算部門だけを別会社化できたのに」「自宅だけでも残せたのに」というケースも多くあります。どうか、早めにご相談下さい。

 

また、事業承継と事業再生を組み合わせることで、事業再生で過大な借入金をカットした上で事業承継を行うという手法もあります。

 

事業再生・倒産・資金繰りなど、電話を頂いて相談予約というのは大層でなかなかにハードルが高いことかもしれません。
何かの会合でご一緒する機会がありましたら、その時にでも「聞きたいことがある」「迷っている」「相談がある」と気軽にそっと声をかけて下さい。
ランチでも、飲みにでも誘って頂き、その時にご相談頂いても結構です。
どうぞ、お気軽に、早めにご相談ください。

再生が可能か?否か?の判断は、企業様の置かれている現状や、業界特性他、後継者の有無、協力者の有無など様々な角度から検討をしてみなければ、判断が難しいのですが、判断の第一歩として「もし仮に借金がなく、月々の借金の返済がなければ黒字になる。または、それだけでは黒字にならなくても、加えてリストラなどの経費削減や不採算部門の切り離しなどを行い事業を効率化すれば黒字になる可能性がある。」という点が、再生可否の第一歩といえます。

 

もし、これがクリアできると見込まれる場合は再生の可能性がありますので、早めにご相談ください。

事業再生の手法には、大きく分けて裁判所の関与のもとに再生手続を行う法的再生(民事再生・会社更生)と、裁判所が関与することなく手続を行う私的再生(私的整理ガイドライン・事業再生ADR・中小企業再生支援協議会スキームなど)の2種類があります。
裁判所が関与することにより、厳格な財産評定、債権確定、計画策定の各手続が実行され、情報開示も各債権者に対し平等になされます。
これにより、債権者と債務者間、債権者相互間の公平が担保され、適性な手続が保証されるという特徴があります。

メリット

  1. 全債権者の同意がなくても再生計画案が成立します。
    例えば、民事再生の場合、全債権者の過半数の債権者が同意し、かつ同意した債権者の有する債権額が全債権額の2分の1以上であれば再生計画案が成立します。
    このように全債権者の同意まではいらないことから、債権者多数の場合や一部強固に反対をする債権者がいる場合に、比較的向いています。

デメリット

  1. 買掛債権などの取引債権も含め、全債権者を公平に扱う必要がある。
    つまり、買掛金も債権カットの対象となるため、再生後も同一業者から商品の仕入れをする必要がある場合などは、再生に悪影響が及びます。
  2. 再生申立を行うと、裁判所から全債権者(取引債権者も含め)に通知が送られるため、企業価値が低下する危険性があります。(ブランドイメージの低下や、信用不安など)
  3. 法的再生の申立を行うと、上場廃止になる。

法的再生が適する場合

  1. 債権者が多いケース
  2. 債権者の同意が得られにくいケース
  3. 特殊債権者(高利金融業者など)がいるケース 
  4. 医療機関 など

私的整理ガイドライン・事業再生ADR・中小企業再生支援協議会スキームなど裁判所が関与することなく、債権者と再生企業との交渉により再生を進めていく手法です。

メリット

  1. 手続が非公開であるため、再生企業の信用不安や企業イメージの低下を回避できる。
  2. 柔軟性が高いため、取引債権を保護しないと事業毀損が発生する業種に向いている
    ∵当事者間で話し合いさえつけば、手続きや合意内容は自由なので、金融機関のみを債権カット交渉の相手とし、再生後も商品を納入してもらえるよう仕入業者だけには全額弁済をする、金融機関ごとに違う債権カット率で合意できるなど、柔軟な解決ができる。
  3. 法的再生(民事再生・会社更生)に比べ、比較的手続が早い。
  4. 上場を維持しながらの事業再生が可能

デメリット

  1. 再生計画に同意してくれない金融機関がある場合は、手続きが頓挫する。
     ∵法的再生と違い裁判所による強制力がないため。
  2. 債権者が多数いる場合は適しない
    ∵各債権者との個別交渉が必要であるところ、債権者多数の場合は手間がかかりすぎる上に成立可能性が低い。

私的再生が適する場合

  1. 経営破綻が公になることで事業の劣化が進み、再生が困難になるケース
  2. 対象債権者が少なく全員の協力が得られるケース
  3. 取引債権の保護が必要なケース など

リスケジュールとは、金融機関からの借入金の返済が過大で資金繰りを圧迫している場合に、金融機関と「毎月の返済額を減らして返済期間を延ばす」という合意をすることで、資金繰りを改善する再生手法です。簡単にいうと、返済条件の見直しであり、借入金の総額が減少する訳ではありません。

 

一定期間元本の返済をストップするケース(元本返済停止型)と、一定期間元本の返済を減額するケース(元本返済減額型)があります。

 

停止型、減額型に関わらず、リスケジュールはあくまで緊急措置的な対処手段であり、リスケジュール期間中に、リストラの実行、不要不動産・動産の売却、不採算部門の整理など経営改善を行い、経営を立て直すことが重要です。
ごくまれに、リスケジュールが成功し、日々の資金繰りから解放されただけで安心してしまい、経営改善を放置してしまう経営者がいますが、リスケジュールはあくまでも緊急措置的な対処手段であるということを忘れてはなりません。

 

再生手法の中でも比較的、金融機関の同意が得られやすいイメージを抱く経営者が多いのですが、銀行にとってリスケジュールに応じるメリットがない、経営改善計画書や事業計画書の実現可能性がない、再建可能性がない、経営者が信用できないなどの理由で、断られることもあります。

 

経営改善計画書・事業計画書などの資料をしっかりと作成する、キャッシュフローを正確に把握し、返済計画書に根拠のある返済額を記載する、複数の金融機関がある場合は各金融機関の公平性に配慮するなど金融機関の理解が得られるか?金融機関にとってリスケジュールに応じた方がメリットがあると判断してもらえるか?いうことを意識することが大切です。

事業再生において行うM&Aには、合併・会社分割・事業譲渡・株式譲渡などがあります。

 

買い手にとっては、同業種の企業を買収することで、マーケットシェアを拡大できる、自社にない他事業のノウハウを得ることができる、時間と費用を抑えて新事業を展開できるなどのメリットがありますが、いずれも高額な費用がかかります。

 

他方、売り手にとっては、不採算事業を売却することで、売却代金を得ると共に、資金の流出を止める、資金繰りを改善する、負債を減らす、業務の効率化を図るなどのメリットがあります。

また、採算部門を高値で売却し、売却代金を残した事業に投入することで、立て直しを図るというケースもあります。

 

経営悪化の初期の段階であれば、M&Aのみで経営を立て直すことができるケースもありますが、借入金が膨れあがり借入金のカットが必要な段階であれば、法的再生や私的再生とM&Aを組み合わせて、再生計画の中でM&Aを行います。

法人の再生を行うことが出来たとしても、再生後の法人に経営者として残ることが出来るのか?

 

答えはケースバイケースです。

 

借入金のカットを伴う場合は、原則、経営者交代を求められます。
しかし、中小企業においては、社外的にも社内的にも社長の影響力がなければ存続が難しい企業も多く経営者を続投した方が事業再生に資する場合は、債権者の同意を得て経営者を続投するケースもあります。

 

この点、法的再生である民事再生や、私的再生のうち中小企業再生支援協議会が関わる再生の場合は、経営者が存続するケースが多いです。
私的再生のうち、私的整理ガイドライン、事業再生ADRを利用し、債権カットを伴う場合は、原則として経営者の交代が求められます。

 

「中小企業における個人保証等の在り方研究会」が発表している統計が参考になります。
民事再生利用の場合:経営者交代41%、経営者存続59%
中小企業再生支援協議会利用の場合:経営者交代31%、経営者存続69%

 

ただし、現経営者が続投する場合でも、現経営者の私財提供による保証履行や退職慰労金請求権の放棄など、退任以外の方法により経営者責任を果たすことが要求されるケースもありますので注意が必要です。

法人の再生を行うことが出来たとしても、経営者が当該法人の借入金の連帯保証人となっている場合は連帯保証債務が残ったままになります。

 

通常は、連帯保証債務額が大きすぎて経営者個人では返済できないため、経営者個人は自己破産・個人再生・通常民事再生などを行うことで、生活再建を図ります。

 

また、法人が債権カットを伴う再生を行う場合は、現経営者の私財提供による保証履行など、経営者責任を果たすことが要求されることから、個人再生や通常民事再生で自宅等の財産を残すことは、債権者の理解が得られない可能性が高いので注意が必要です。

年金受給権について

自己破産や個人再生をしても、年金受給権に影響はなく、受給年齢になれば年金は受給できます。

財産を債務の弁済に充て、残った債務については免責を受け最終的には支払が免除される制度です。自宅や預金などの財産は全てなくなる反面、債務も全額なくなります。
なお、自己破産には「同時廃止申立」と「管財申立」の2種類があり、「管財申立」の場合は99万円までの財産を残すことができますが、裁判所に納める予納金が20万5000円~必要になります。

債務の一部を免除し、免除後の残額を3~5年で分割して返済する制度です。
住宅などの財産を残すことができる反面、債務の一部免除であって、全額免除はされません。
また、住宅ローンが残っている場合は、住宅資金特別条項を使うことで、契約通りローンを支払ながら自宅を残すことも可能です。(住宅資金特別条項を使う場合は、住宅資金貸付債権については、債権カットも利息の免除もありません)
利用にあたっては、住宅ローンを除く負債総額が5000万円以下であること、将来にわたって継続的に収入を得る見込みがあることなど、その他にもいくつかの条件を満たす必要があります。

通常民事再生

債務の一部を免除し、免除後の残額を7~10年で分割して返済する制度です。
負債総額や継続的収入などの条件なく利用することができますが、個人再生と異なり裁判所に高額な予納金を納める必要があります。
また、債務の一部免除にあたっては、全債権者の過半数の債権者が同意し、かつ同意した債権者の有する債権額が全債権額の2分の1以上の同意が必要です。
通常民事再生は、法人を予定しており、経営者個人の生活再建で使われることは稀ですが、個人再生が使えない場合は、検討してみると良いでしょう。